悪誉れの乙女と英雄葬の騎士 / 夏野ちより

本の感想, 作者名 な行夏野ちより

カーヴェル海賊団の船団長の養女クレアは、船長試験のためにノストリー島に停泊中の船を襲うことになる。しかし、作戦実行中に英雄騎士アドルフと直接対峙してしまったクレアはあえなく拿捕され、島に滞在中の王女の前に連れて行かれてしまう。

楽しいコンビもの(曲解)だなー、というようなお話でした。

えんため大賞優秀賞作のデビュー作。義賊な海賊のお嬢さんクレアと、英雄扱いされているものの態度と口調が非常によろしくない騎士のアドルフが、クレアの船長試験のためにとある事件の調査を命じられてその真相にたどり着くが……というような展開でした。その過去の経験からきれい事ばっかいってんじゃねーよ、と根性がひん曲がっているアドルフに対して、信念を貫き通すクレアがアドルフの心のなかに少し入り込んでいくところは、こういう「ハリネズミのようにトゲをだしまくっている青年」と「真っ直ぐな少女」ものの醍醐味とも言えましょうぞ……(楽しみました)。あと、こういう「荒れくれもの」を取りまとめる気の強いお嬢さんとそれを慕う部下(と言うか舎弟)たちというのは個人的に好みです。部下の出番あんまりなかったけど。

ほんのちょっと読みにくいかなぁと思うところもあったのですが、この辺りは新人さんだし、勢いで読ませちゃうところがあるのでまあいいかなーと。続刊も決まっているようなので、続きも読んでみようと思います。

悪誉れの乙女と英雄葬の騎士
夏野ちより/涼河マコト
ビーズログ文庫(2015.04)
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