最後の王妃 / 白洲梓

本の感想, 作者名 さ行白洲梓

王家に嫁ぐべく育てられたルクレツィアは15歳で王太子シメオンに嫁ぐ。程なく国王が崩御したためシメオンが王位を継ぐが、王太子は結婚から一貫してルクレツィアに構うことなく、下働きの少女、マリーを愛し、そしてマリーを側室に迎え入れる。そんな中で5年が過ぎ、隣国に攻めこまれ、シメオンはルクレツィアを残して自害してしまい、ルクレツィアは辺境の地に幽閉される。

評判通り、面白かった!

2015年度ノベル大賞受賞作。コバルトらしい面白い新人さんだよーという評判を聞いていましたが、たしかにこういうのがあるからコバルトを読むのはやめられてない!という少し固めの、真面目なお話で面白かったです。いいもの読んだ。

前半はルクレツィアの不遇具合がこれまたすごくて、タイトルもタイトルだしこれって悲しい物語なのかなぁ、この子は幸せになれるのかなぁと不吉な予感しかなかったのですが、中盤以降にころっと話の潮目が変わって、最後の最後はハッピーエンドでよいものでした。若干甘いところはあるかなぁと感じましたが、土台はしっかりしているし、新人さんの作品を読んだ時にたまに感じるもぞもぞ感を殆ど感じなくて、(話の展開はともかくとして)安心して読める作品でした。そして何よりこれぞ硬めの少女小説!という醍醐味も堪能できてとても満足です。

最後の王妃
白洲梓/池上紗京
集英社コバルト文庫(2015.11)
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