使い魔王子の主さま 恋と契約は突然に / 秋月かなで

本の感想, 作者名 あ行秋月かなで

強力な契約獣アルフとともに暮らすリリーシャは、持参金としてのアルフを狙っての求婚者の数々に悩まされていた。求婚者から逃げるにあたって逃げ場を失い、命の危機にまで陥っていたリリーシャは、魔法の才能がないもののおまじない代わりに亡き母から教えられていた契約獣の召喚の呪文を唱え、第三王子であるルクスを召喚してしまう。

王道の少女小説ファンタジー感のあるお話でした。

第13回角川ビーンズ小説大賞・奨励賞受賞作。庶民の女の子が王子様を召喚してしまい、つながりができてしまったために離れることができず、偽装のための恋人として王子様の邸宅に滞在することになってしまうというお話。リリーシャが頑張り屋さんの女の子で、ルクスがリリーシャには色々と隠して暗躍している、と少女小説的に正しい立ち位置の二人でした。ただ、ルクスが王子様ポジション(正しく王子様なんだけど)にしては何となく弱いというかなんというかであと一歩だなぁと感じてしまいましたが……。

陰謀方面は国家を揺るがすなどという大きなものでもなく、こじんまりとまとまってしましたが一応今回できれいにカタが付いておりました。しかし、リリーシャの力の謎や契約獣の秘密などは謎のままなので、これで終わりということはないと思うんですけど。最近のビーンズ文庫の傾向から言って、あと1冊は出ると信じたい……(ほら、2冊で終わったやつとか3冊で終わったやつとかのことを考えると2冊くらいは……)

使い魔王子の主さま 恋と契約は突然に
秋月かなで/双葉はづき
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