シグザール警察特命官 まるで愛おしくない君とふたり / 御永真幸

本の感想, 作者名 あ行御永真幸

王立警察の出世街道の先頭をはしっていたジークだが、一つのミスから雑用係として有名な「シグザール警察刑事課・十三区特別命令班」に左遷されてしまう。そこでのただ一人の同僚イリスは、持ち込まれた依頼を朝から晩までこなしている。警察官になった理由になにやら黒いものがあるらしいイリスだが、ジークはだんだんイリスのペースにまきこまれていき……

サブタイトルが秀逸だなぁという作品でした。続き読みたい。

出世のためならすべて切り捨てる、と見せかけて実は人情派の元エリート警官のジークと、その出自と警官になった理由などありとあらゆる点で謎に包まれているイリスの凸凹バディもの。
悪役は小物、といいますか、誰がどうなんだろうというハラハラ感はないのですが、ジークとイリスの距離が(バディとして)徐々に縮まっていくところや、なんのかんのと雑用を完璧にこなすジークのたくましさ、そして味方?ポジションの人たちの一筋縄ではいかない動向が楽しいお話でした。このお話の肝はやっぱり、サブタイトルにあるとおりの二人の距離感ですかねぇ……この二人相棒になれるのか?というところからちゃんと相棒になってたところがすごい良かったなぁ、とか、悪役を騙すために「特別な関係」を匂わせたところのイリスの無意識の表情とかがツボでした。

いい感じのコンビになった二人、イリスの犯した罪や出自というのが、あれですよね、あれ!といろいろ想像が膨らむ感じに仕上がっておりましたので、続きも読みたいなぁ。

シグザール警察特命官 まるで愛おしくない君とふたり
御永真幸/双葉はづき
集英社コバルト文庫(2016.6)
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