雪公爵の銀灯師 みせかけ夫婦と王宮の庭 / 白川紺子

本の感想, 作者名 さ行白川紺子

兄王から結婚するよう申し渡された侯爵ヴィクトルは、幼い頃から彼に付き従う銀灯師エミリアに自身と偽装結婚をするように命令する。仕える主人からの命令で否とはいえないエミリアは、ヴィクトルへの想いを抱えたままヴィクトルの命令を受け入れ、ヴィクトルとともに王城に向かう。二人の王城滞在中に突如現れた魔物の調査と対応を兄王より命じられたヴィクトルは、エミリアとともに

両片思いのじれじれかんがいいものでした。

ちょっと長めの中篇、ともいうべき表題作と、ふたりの子ども世代の話、そして姪っ子のお話の3話収録でした。表題作だけかなぁと思っていたので後半2つは予想外のボーナスで良いものでした。

初っ端からふたりとも互いにお互いを片思いで、双方ともに想いを打ち明けられない理由があるというジレジレ感マックスのスタートで、なんというかこれはいつどっちが暴発するのかというある意味のドキドキ感は……双方ともに自制心が強いのでなかったんですが、いっちゃえ、そこでいっちゃえ!と何回か思いました。それをこらえる二人がまた良いものだったんですけどね。

表題作が少し重めのものだったのに対し、子どもさんのお話はちょっと息抜き?かなぁと思っていたら(何しろ息子さんの思いっきりの良さというか真っ直ぐぶりというかが)そうでもなくてこのあたりの締め方は流石に白川さんだなぁと。表題作からのつながりを考えると最後の姪っ子さんのお話は、淡々しつつもしんみり、じんわりで静かな物語でこちらも良いものでした。

雪公爵の銀灯師 みせかけ夫婦と王宮の庭
白川紺子/紫真依
集英社コバルト文庫(2016.09)
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