私の気の毒な婚約者 / 山吹ミチル

本の感想, 作者名 や~わ行・他山吹ミチル

伯爵令嬢のクリスティナは第二王子レオンの婚約者だが、クリスティナはレオンには別に想う相手がいるものの政治的な事情で自分と婚約していると思いこんでいる。一方で、レオンは第二王子の婚約者としてクリスティナに様々な知識・教養を身につけることを要求し、それに応えるクリスティナに満足していたが、クリスティナはレオンの心を知らずにいた。

お互いに相手のことを気の毒と思っているなぁと感じたお話でした。

ネット発のお話、ということに途中で気づきました。言われてみればそんな感じもするかなぁとも思いつつ、全体的には私好みのお話でした。
最初はクリスティナが「レオンには他に好きな令嬢がいる」と思いこんでいるところからのスタートなので、「レオンが気の毒」、というそういうタイトルと思っていたのですが、読み進めていくとレオンもクリスティナのことを(振り回されてて)かわいそうと思ってそうで(しかし、レオンさんは基本的にアレなのでそんなクリスティナですら可愛い)お互いに「気の毒」と思っているお話なのではと思いました。双方ともにベタ惚れ(表面所はわりと普通)というのが良いものでした。ライバルポジションのご令嬢様も、今後のポテンシャルに期待できるツンデレぶりで、あの破天荒なクリスティナ兄にどれだけ振り回されるのかと思うといろいろと楽しめそうです。

タイトルに関するお話は中盤まででとりあえず決着がついて、あとは宮廷陰謀劇(ばっちこい)になってきて、こちらも小盛りの展開ながらも良い少女小説宮廷陰謀劇でした。サクッと軽めなのもよい……。


私の気の毒な婚約者
山吹ミチル/雲屋ゆきお
アイリスNEO(2015.12)
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