虚弱王女と口下手な薬師 告白が日課ですが、何か。 / 秋杜フユ

本の感想, 作者名 あ行秋杜フユ

ルルディ王国の王女アティナは17歳まで生きられないと言われたほど病弱だったが、亡き父王の尽力によりアレサンドリから呼び寄せた薬師ルイスの作った薬によりなんとか生きながらえていた。そんなルイスにいつからか惹かれ、彼への告白を日課にしたいたアティナだが、彼女の17歳の誕生日に国の中央で起きたクーデター騒ぎにより平和な日々終わる。

序盤の展開からコメディ色の強い話かと思ったら壮大な政争劇になってた!

前前作(シスコンのやつ)の対抗馬だった、片言薬師のルイスに幸せを!というコンセプトの元、生まれたというお話。ルイスへの想いを認識したアティナの猛攻をさらりとかわすルイスと、負けずにアタックを続けるアティナ、そんな二人のやり取りを暖かく見守る周囲というラブコメだったのが序盤で、急に不穏な動きが出てきて、クーデターやらなんやらと壮大な展開になっていい意味で予想外の展開でした。
忘れられた王女ではあるものの、王女として身を挺して民を守り、王族としての勤めを果たそうとするアティナと、アティナを大切にするルイスの二人の関係がじんわりといいもので、そしてエンディングへのたどり着き方はさすがだなぁと感じました。最後のあそこへの落ち着き方は、ルビーニ家その他の多大な圧力があったんだろうなぁ、とかそのあたりは既刊を読んでいるからこそ感じるボーナスでしょうか。

ということで、次のスピンオフの機会があればデメトリさんが活躍する話を読みたいなぁと思っていたのですが、最近出た最新刊はデメトリさんもたくさん出てきそうなお話だそうで。引き続き楽しみです。

虚弱王女と口下手な薬師 告白が日課ですが、何か。
秋杜フユ/サカノ景子
集英社コバルト文庫(2017.02)
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