骸骨騎士団の、王女に捧げる過剰な忠愛 / 藍川竜樹

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行藍川竜樹

政争に破れ、母と一族が承継され温情で生き残った王女ユリアナは、生きるために存在感を消し、与えられた離宮でひっそりと暮らしていたが、彼女を疎む継母の手配で囚われそうになるところを、古風な騎士ルシアンに助けられる。ルシアンは不死の軍団<骸骨騎士団>を率いる騎士で、仕えるべき王族を100年間待っていた。ユリアナを主と定めたルシアンは、ユリアナを表舞台に復帰させるために行動を開始する。

ルシアンのずれた俺様ぶりと、変わっていくユリアナが面白かったです。

藍川さんの読み切り。忘れられた王女様と、伝説の不死の騎士団を率いる俺様騎士のどう考えてもラブコメ!(でもちゃんと陰謀もあるよ!)というお話でした。藍川さんのこのラブコメに寄った宮廷陰謀劇の絶妙な塩梅、好きだなぁ。
骸骨騎士団の主となることは絶大な力を持つことになるため、長い間の引きこもり生活の結果「主人を調教する」という方向に走ってしまったルシアンのはじけっぷりが楽しく、ルシアンに押されながらも徐々に王女として、骸骨騎士団の力を得て次代の王となる可能性を手に入れたユリアナの成長が頼もしくてワクワクする展開でした。お互いがそれぞれ相手に対する想いを自覚する点については、読者(と周囲のギャラリー)からすれば、ようやく気付いたか……というような、むず痒さがよい少女小説でした。
ユリアナの周囲のじじばばやお兄ちゃんも面白かったなぁ。とある人に対しては、いろいろと最後の最後まで疑ってすいませんでした!と思いました。

骸骨騎士団の、王女に捧げる過剰な忠愛
藍川竜樹/三浦ひらく
集英社コバルト文庫(2016.08)
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