魔女が死なない童話 林檎の魔女の診療簿 / 長尾彩子

本の感想, 作者名 な行長尾彩子

子爵家の庶子であるが不吉な魔女とされる容姿を持つため、父から疎まれ辺境の地で樹木として生計を立てていたレナーテ。あったことのない憧れの学者メルとの文通を密かな楽しみにしているレナーテであったが、彼女のもとに突如父から伯爵家の子息との縁談が持ち込まれる。父の命令に逆らえないレナーテは、渋々縁談に臨むことになる。

精霊猫(ツッコミ要員)がわかいかった……!

コバルト文庫で気にはなっていたので積んでいた作品。タイトルからしてもうちょっとほわわんとした物語なのかなと思っていたのですが、わりとシリアス。魔女が持つという容姿を持つために実の親から疎まれているレナーテ、不吉な双子として生まれたたため信心深い父王に疎まれているメルヒオール王子の主役の二人が置かれている状況や過去が結構きつい物があるんですが、でも「ハッピーエンドのメルヘン」の物語でよいコバルト文庫でした。ツッコミ要員の猫様クラウディア(精霊みたいな存在)のツッコミがいちいち楽しく、クラウディアの言うとおりこじらした初恋は色んな意味で厄介だなぁ(ニヤニヤ)というメルヒオールのレナーテへの執着がすごくてはたから見ている分には楽しかったです。

終盤のバラのあれこれは学者の倫理的に若干どうなんだろう、これは……と思ったりもしましたが、メルヒオールが学者を志した理由はすべてレナーテのためだし、まあ彼としては学者よりレナーテなので、まあありなんでしょう、となんとなく納得しました。

魔女が死なない童話 林檎の魔女の診療簿
長尾彩子/宵マチ
集英社コバルト文庫(2016.07)
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