2006年7月の本の感想



スカーレット・クロス 月の下に咲く花

瑞山いつき/橘水樹・櫻林子(イラスト)角川ビーンズ文庫bk1amazon

ギブの秋波をさらりとかわす村一番の美女デリラ。ツキシロとリアは彼女の秘められた恋物語を聞きたいとねだるが……。(「月の下に咲く花」)

雑誌掲載分4作に書き下ろし1作を含めた計5作からなるスカーレット・クロスの短編集。雑誌掲載分は掲載時に読んでいましたがやっぱりおもしろかったです。お気に入りはギブ父母の話と、リチャード神父一門の話(←ツボにはまるポイントはいつ読んでも同じらしい)。それにしても、祓魔師と≪聖なる下僕≫って恐ろしくらぶいですな……。なんせ「死が二人を分かつまで」ですから。しんみりとしつつも笑える部分もわんさかあり(特にリチャード神父一門関係)、楽しい短編集でした。本編の完結編も楽しみです。
Jul/30/2006 ↑TOP
 『スカーレット・クロス 背信の月露


<骨牌使い>の鏡II

五代ゆう/宮城(イラスト)富士見ファンタジア文庫bk1amazon

ハイランド王国の王を補佐する<骨牌使い>の一人、<十三>であるという事実を知ったアトリは、ロナーらと共に王都に向かうことになる。王都で思いもかけず親友モーウェンナと再会したアトリであったが、モーウェンナもまた<骨牌>の一人であることを告げられ……。

<骨牌使い>の鏡の二冊目。いろいろと謎に包まれていた敵が本格的に動き出し、敵味方の分布もこの一冊の中でめまぐるしく変わっていって手に汗握る展開の連続でした。世界の奥深さも一段と増しさらにおもしろさが加速。モーウェンナっ!とかロナーぁぁぁぁ、等と訳の分からないじたばた感とともに読み進めていきましたが、もうなんというかやっぱり続きが早く読みたいっ!という(前回と同様)非常に手抜きの感想と共に最終巻を待とうと思います。
Jul/27/2006 ↑TOP
 『<骨牌使い>の鏡I


銃姫7 No More Rain

高殿円/エナミカツミ(イラスト)MF文庫Jbk1amazon

灰海でのギャランヌとの戦いの中でミトの過去を知ったセドリック。そして、生涯の敵としてミトに手をかけなければいけないが、今はそのときではないと帝国軍の進軍に備えるセドリックだが……。一方、帝国へ亡命する避難民に同行するアンブローシアは、アラベスカと出会い、進軍する帝国軍にガリアンルードの王女として同行することになる。

クライマックスに向けて一通りの布石は終えたというお話でしょうか。表紙を見たときにむむ?と思ったんですが、やっぱりむむ?でした。いや、私の心の涙を返せと。……、でも、あの話に登場する人たち、みんな好きだからいいや。他にもいろんな人が再登場、そしていろんな過去がかいま見られました。再登場組ではやっぱりティモシーかな。キれたティモシーが普通にかっこよかったです(←何か違うだろう……)
次巻で描かれるであろう灰海での戦闘、どう考えてもスラファト軍の圧勝にしか思えないのですがはたしてどうなることやら。流星軍の内通者が誰なのかということが一番の問題でしょう。高殿さんだから、誰が内通者でもありえるなー。愛憎は表裏一体ともいいますし、もう、誰でも驚きませんよ。といいつつ、その段になったら驚くのでしょう……。
Jul/21/2006 ↑TOP
 『銃姫6 The Lady Canary


神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト

高殿円/きなこひろ(イラスト)GA文庫bk1amazon

グラナード家のプリムローズお嬢様にメイドとして仕えるスノウドロップに最大の危機が訪れていた。何よりも大事なお嬢様が、選ばれた者しか入学できないという精霊島の音楽学院への入学のはほぼ間違いないだろう現実だ。そこで何とかしてお嬢様についていこうとするスノウの前に、ブランかと名乗る精霊が現れた。ブランかはエターナル・ホワイトといわれる伝説のコントラバスの弾き手としてスノウを精霊島に連れて行くと言うが……。

新レーベルでのシェアワールド第三弾を他の作品を読まずに読みました。これはこれ単体でも十分楽しめますね。武者口調で口癖が「絶賛叩き切る」でメガネでお嬢様命で猪突猛進のスノウは最初どうかと思いましたが、途中からは全く気にならないどころかむしろなじんでました。
音楽を糧に生きる精霊と、その精霊を使役するために切磋琢磨の日々を送る神曲楽士の卵たちの関係がよかったです。時に切ない場面もありましたが、精霊たちの一途さに思わずぐっと来ることは保障できるのではないかと。一応、コレ一冊でもお話が終わっていることは終わっているのですが、スノウの出自やらブランカの過去やらいろいろきになります。プロローグやらブランカのセリフからして、スノウはこっちの世界から連れてこられたっぽいのですが、果たしてどんなもんなんでしょうかね。シェアワールドの他の作品は……、うーん、今のところは様子見かな?黒い方はちょっと気になるのですが。
Jul/17/2006 ↑TOP
 


空ノ鐘の響く惑星で11

渡瀬草一郎/岩崎美奈子(イラスト)電撃文庫bk1amazon

シュナイクの招きによりラトロア入りしたフェリオとウルクは、ダルグレイ議員との面会を果たす。フェリオ一行とは別ルートでラトロアに入ったリセリナたちは”死の精霊”の在処を探っていた。

空鐘の最新刊、やっぱりとってもおもしろかったです。そして次はいよいよ最終巻だということでー、いやもう感想いいです(投げた)。パンプキンとライナスティ、そしてシュナイクの殺人ドリンクがよかったです。
最終巻が待ち遠しいけれど終わるのは非常に寂しいっ!のですが、続きをまだかまだかと待ちたいと思います。
Jul/09/2006 ↑TOP
 『空ノ鐘の響く惑星で10


風の王国 目容の毒

毛利志生子/増田メグミ(イラスト)集英社コバルト文庫bk1amazon


ソンツェン・ガムポのお膝元で翠蘭が毒殺騒動と仏教・土着の信仰問題に巻き込まれるお話。表紙ではあんなにらぶいムードを漂わしているのに、出番のほとんどないリジムが……。
あらすじからして翠蘭とティツン妃との間で壮絶な嫁姑バトルでも繰り広げられるのかと思ってしまいましたが、そんな様子全くなく、いや、むしろティツンさん好きです。もう出てこないのかなぁ。
いつものことながら、真犯人が明らかになっていく過程は結構楽しめましたが、今回もお見事と思える”好敵手”的犯人ではなく、ソンツェン・ガムポ様の前では明らかに小物な人物でちょっと物足りない(笑)。でも、まー、リジムがいないかわりにガルがよかったし、何よりソンツェン・ガムポさまがかっこよかったのでいいかな。続きも楽しみです。
Jul/02/2006 ↑TOP
 『風の王国 朱玉翠華伝


光炎のウィザード はじまりは威風堂々

喜多みどり/宮城とおこ(イラスト)角川ビーンズ文庫bk1amazon

≪学園≫の基礎過程を終了したばかりの魔術師見習いリティーヤは、ぶっきらぼうで超甘党、しかし若いながらも≪K≫の位を持つヤムセを指導教官とし、専門課程を学ぶことになる。そして、早速ヤムセとともに魔力環境の調査に向かうことになるリティーヤだが、調査地で失われた魔術書らしきものが取引されるという情報がもたらされ……

雑誌での短編が思いの外好みだったので、新作第一作目にチャレンジしてみました。これは結構好みかな〜。がさつでポジティブな弟子(ヒロイン)とすごい実力を持っている上に何かいろいろややこしい因縁を持っていそうな割には超甘党の師匠というこの構図がとりあえずツボです。根幹はシリアスな物語なのですが、笑える部分がかなり多くて、この笑いの要素を受け入れられるかどうかで評価が分かれそう。私はこのコメディ要素も結構好きです。
失われた≪昼の魔術≫をなぜリティーヤだけが使えるようになったのか、そして、彼女が探し求める生き別れの家族や命の恩人「虹ドロさん(=虹色のドロップをくれた人)」は誰なのか、など、続きが楽しみです。
Jul/01/2006 ↑TOP


伯爵と妖精 駆け落ちは月夜を待って

谷瑞恵/高星麻子(イラスト)集英社コバルト文庫bk1amazon

エドガーからクリスマス休暇を(勝手に)もぎ取ったリディアはスコットランドで父と共にクリスマスを迎える準備をしていた。そこでリディアは幼なじみのアンディと最悪な形での再開をはたす。一方、ロンドンに残ったエドガーはリディアのいない寂しさを何とか紛らわそうとして……。(きみにとどく魔法)

スコットランドでの妖精博士ぶり2作、表題作ともうひとつでロンドンでの妖精博士ぶり2作、そして本編では空白のクリスマス休暇についての書き下ろしの計5作収録の短編集です。
やっぱり伯爵と妖精はいいですねー。今回は短編集ということもあり、エドガーが出演するお話はもれなくいつも通りのラブでした。あー、おもしろかった。そして久しぶりにケルピー君初登場のお話を読みましたが、「あれ、こんなに弟思いのいいやつだっけ?」などとかなり失礼な感想を持ってしまいました。
どのお話も好きなんですが、やっぱり圧巻は書き下ろし「きみに届く魔法」に決まりです。確実に一番ラブく、そしてレイブンがよかった……(笑)。まさか短編で幻のラブレターの君関係を持ってくるとは思いませんでした。本編でじっくり攻めてくれてもよかったのに〜。アンディとエドガーの直接対決が見たかったような気もします。
Jul/01/2006 ↑TOP
 『伯爵と妖精 涙の秘密を教えて


銀盤カレイドスコープvol.7 リリカル・プログラム

海原零/鈴平ひろ(イラスト)集英社スーパーダッシュ文庫bk1amazon

ようやくやってきたオリンピックイヤー、打倒女帝のためにコーチを変えオリンピックに臨むことにしたタズサ。そして、彼女が選んだコーチはリアを育て上げたマイヤ・キーラフだった。

銀盤もオリンピックに向けて始動、リアという圧倒的な壁に対してタズサの、そしてガブリーの揺れる心境が語られていました。どの方面から考えてもトップは揺るぎないリアに果たして各人がどう挑んでいくのかというのが楽しみです。物語の主人公という点ではタズサがリアを越えるという展開が燃えるなーと思いますが、リアが負ける所なんて想像ができません。本当にどうなるんでしょうか……?
とにかく続きが楽しみ!という意味では非常に楽しめたんですが、個人的にはリア宅訪問のところはちょっとついていけなかったかな。好きなんだけど少々違和感を感じてしまいました。
ここで最終巻は”ファイナル・プログラム”になるに違いないと勝手にベタベタな予想。あと何冊でしょうかねー。
Jun/30/2006 ↑TOP
 『銀盤カレイドスコープvol.6 ダブルプログラム